
私は和歌が大好きです。
たった31字の歌で、言葉にできない作者の心情、見た景色、匂いまで、色鮮やかに目の前に蘇ってくるように思えるのです。
特に歌に込められた想いに、自分の気持ちまで揺れ動き、その歌の世界に心を持っていかれます。
インターネットも、テレビも、電話も、スマホもない時代。
誰かに気持ちを伝える手段が限られる環境で、和歌は、人の心を動かす大きな力を持つものだったのだと思います。
私は詩を書く時に、高まる気持ちや、どうにもならない苦しい想いを乗せて、言葉にしていくのですが、昔の人たちも同じ気持ちだったのかな、と想いを馳せます。
そう思うと、はるか昔を生きていた彼らと繋がっているような感覚がします。
自然の中に生きて、現代以上に自然や夜闇、死が身近だった時代に生きる、現代に生きる人たち以上に、感性がとても鋭く豊かだったのだと思います。
私は時々、自分ではどうにもならない荒れ狂う感情に、圧倒される、と感じます。
詩や和歌は、最も簡素なシンプルな言葉で、荒ぶる感情をなだらかに、そして美しいものに昇華してくれるように思えます。
私の詩も、少しでもそこへ近づきたい、と思っています。