子どもの頃、とても幸せだった。
いつも暖かなものに包まれている感じで、幸せという概念も知らなかったけれど、いつも満たされていた。
聞こえないことは何の問題もなくて、むしろ、いつでも自分の世界に浸ることができて、好都合だった。
聞こえないから、周りの音は何も聞こえず、1人静かに、空想したり、自然と向き合って遊んでいた。
友達とも、分からなくても、何となく通じるもので遊んでいた。
一緒に遊ぶのは、そんな子ばかりだった。
今思えば、同じような世界を共有して、その中で遊んでいたのだろうな、と思う。
私を包むのは、さまざまな物語と、優しい人たちと、全てを包み込む自然、そしていつもそばにある暖かな感覚だった。
それを幸福感、というのだと思う。